ラブ☆ロマンス





「私、今日は用事あるからこれで帰るね?」



 私の言葉に、何故かみんなが慌て始めた。


「えっ 蒼一郎戻るまで待ってて下さいよ」

「そうですよ!
 戻る前に帰したなんて知られたら、俺らアイツに怒られる!」


 顔面蒼白な彼らを見ていると、普段の蒼くんの鬼畜ぶりが伺えた。



「ははっ 大丈夫だよ。
 ごめんね。時間ないからもう行くね?

 蒼くんにはメール入れるから大丈夫!
 みんなケガしないように、練習頑張ってね!」



 みんなが引き留めるのを、半ば強引に弓道場を後にする。


 下駄箱までの道のり。
 涙を必死に抑えて歩く私をチラチラ横目で見ながら通り過ぎる生徒達。




 ――まだ、泣くな。





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