ラブ☆ロマンス
目の前には年期の入った木の扉。
そこは、私が通っていた三年間お世話になった弓道場の入り口。
「………ごめん。
私、中に入れない」
思いの外か細い私の声に、隣の彼は掴んでいた手を更に力を込めて握った。
「大丈夫です。
ちゃんと話して下さい。そしたら、きっとうまくいきますから」
優しい、柔らかなその声に、泣きそうになる。
中に入るのが怖くて堪らない。
あの冷たい目で見られたら、どうしよう……。
彼の隣に相田さんがいたら……どうしよう……。
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