ラブ☆ロマンス




「……吉田くん……私、やっぱり今日は帰るわ」

「ダメですよ!せっかく会いに来たのに…!」

「それでも――…今日は、やめる」



 泣いちゃダメ。



 これは私が招いた事だから……泣くのはズルい。




「……葵さん」


 帰ろうとした私の手を、吉田くんが掴んだ。

 すでに涙が堪え切れてない私は、下を向いたまま振り払えない。



「あいつ、葵さんとケンカしてから矢がボロボロなんです。
 もう大会なんて無理だと思う。

 授業も……身が入ってないってこの間呼び出されてました」



 そんなわけない。


 蒼くんがそんな風になるほど私を想ってるわけ……ないよ。



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