ラブ☆ロマンス




 ………泣きそう。



「葵さん…」


 吉田くんが心配そうに私を見る。

 それが気配で分かるのに……臆病な私は顔を上げられない。




「葵さん」


 蒼くんの声に恐る恐る顔を上げる。


 彼は―――真顔で見たまま。




「ごめ……わ、たし「どうして謝るの。

 謝らなきゃいけない何かがあるの?」



 ……どうしよう。


 怖くてたまらない。



「蒼一郎、落ち着けって。
 葵さんが怖がってる」


 吉田くんが私の様子に気付いてソッと私を自分の陰に隠した。


 その瞬間――舌打ちと共に蒼くんが動いた。



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