私立凰華学園
第二章 青空に溶けていく希望の歌
どうも、こんにちは。鈴蘭です。
今何をしているのか?ですか?それはもちろん、自己紹介です!
「は、初めまして!胡蝶鈴蘭です!芸能コースSクラスです。不束者ですがよろしくお願いします」
どうやらこの学校では自己紹介の後に特技を披露しなくてはならないようなのです。
クラスの皆さんにいい印象を持たれるように頑張らなくては!
「特技は歌です!今から歌うのは私が作詞作曲した曲です。聞いて下さい。……向日葵の歌」
鈴蘭は鍵盤の前に座り、ポローンと鍵盤を滑らせた。
その音はまるで向日葵に差し込む日光のように暖かく、それでもって強い音色に変わる。
「嘘…これでプロじゃないの?」
「やっぱり伊達にこの学年の芸能コーストップを張ってる訳じゃなさそうだな」
クラスメイト達が次々と感嘆の言葉を溢す。
その中で皆川は面白くないとばかりに自分の読書に集中していた。
それはまだ荒削りな所があるが、確かに音色に色があった。
するとサビの部分で皆川は聞いたことのあるフレーズ、メロディーに思わず顔を上げた。
…このメロディーはあの時の…!
気づいた時には鈴蘭の演奏は終わっていた。
弾き語りをさっそくオリジナルで見せたのだ。こいつは化け物どころではないとすぐに悟った。
「凄いわね~。流石は芸能コース首席で入って来ただけの事はあるわね」
そう感嘆の言葉を零したのは綺麗な黒髪を耳の後ろで一つで結った我らが担任の一橋桃子(ひとつばし とうこ)先生です。