私立凰華学園
結局お友達にもなれなかったです…。
がっくしと肩を落として客席に戻るとメグちゃんが心配そうに駆け寄ってきた。
「ちょ、ちょっとどうしたのよ?!まさか杏太の奴鈴蘭に何かして……!」
「いえ、お友達になれなくて残念だなぁと…」
黒髪の似合う素敵な方だったのに。と落胆している鈴蘭を愛は呆れた表情で見つめてきた。
「あんたって変わってるわ…。あんな嫌みたっぷりな奴と友達になれなかったのに落ち込む人初めて見たよ」
「そう…ですか?皆川さん素敵な方だったですよ?」
そこが人と感性が変わってるんだって、とメグちゃんに突っ込まれてよく分からず首を傾げてしまいました。
けども皆川杏太…さん。またお会いしてお話できる機会があるといいな。
黒髪の黒い瞳。そしてあの寂しげな表情が脳裏を掠める。
彼は一体何を隠して何を取り繕うとしているのだろう。
彼本人にそれを直接問いただすのは難しいような。そもそも多分その理由すら話してくれないような気もする。
けども仲良くなれるといいな、もっとお話できるといいな。
そんな楽しみを胸に秘めて鈴蘭は手に取ったオレンジジュースをちびちびと呑み始めるのだった。