探し物

ガッ。




荒々しい音と共に入ってきたのは、長身の男の子だった。






多分あの瞬間、ほぼ百パーセントの割合でクラスメイト全員が『えっ』と思ったことだろう。




彼の第一印象はハッキリ言って……………………最悪だ。






前が全開の学ランに、Yシャツ無しの中は赤いVネックのTシャツ。





胸元には十字架のネックレスが光り、不気味なオーラを放っていた。




頭髪は金に近い綺麗な栗色で、サラサラしていた。

彼の顔立ちに似合いすぎて、地毛か、染めたのか見当がつかない。



耳には小さなリング状のピアスが二つ並び、指には銀の大きな指輪がはめられていた。






顔はかなり整っていていわゆる『イケメン』という部類だろうが、獲物を捕えるような、鋭い、例えると鷹のような目と眉間に寄ったシワから、近寄りやすいヤツとは思えない。






ズボンのベルトはギラギラした銀の飾り付きで、よくわけのわからないドクロやチェーンをぶらさげている。




パッチワークのようにかなりいろいろなものがズボンの生地に縫い付けられていて、腰までズボンが下がっていた。






そう、彼のような人間を一言で分類するとアレしかない。






――――――――――不良。

広辞苑によると、不良とは、品行の悪い人。また、そういう人。

という意味らしいが、まァ彼はだいたいそのような感じだ。




上から下まで全身校則違反とは、ある意味度胸があるのかもしれない。






そんな風貌の黒木くんであったが、ぼくは一つ、彼が普通の不良とは違うと感じた点があった。



瞳。






絶望感に溢れ、すべてに反抗的なまだ将来の見えない迷いのある目はしていなかった。





むしろ、何かを強く求め、すべてを理解し、訴えているような目をしていた。




まるで、ぼくらに何かを訴えているような。
< 7 / 11 >

この作品をシェア

pagetop