花蓮【完結】
手当てをしてもらって、病院を後にしてからあたしは哲の車があるとこまで送ろうと思ってたんだけど。

哲がどこか行きたいと言うからあたしは向かった。





あの。
海へ。







バイクを降りて、あたしと哲は埠頭に腰掛ける。
寒さがやっぱり厳しかった。
無意識に体をさすると、それに気付いた哲が肩に手を回してくる。



それをあたしは拒まない。




「麻美」




何でまた呼び捨てで呼ぶんだ。



「俺が麻美に何か出来ないかって。
あれからずっと考えてた。
今日、守れて…俺まじで嬉しかった」


「……」


「麻美は強いって言ってるけど。
俺から見たらただの一人の女の子で。
そこらへんの女の子と何ら変わりなくって」





肩に回してる手を一層強くする。




「やっぱり俺は側にいたらいけないかな?」
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