花蓮【完結】


「なあ、なつき」


「ああ?」


「覚えてる?」


「へ?何を?」


「まじで惚れたら俺も変われるのかなって言ったこと」


「…ああ」


なつきは目を伏せがちにそう言う。
過去、俺はなつきにそう言ったことがある。




「俺さ、自分がたかが独りの女のためにこんなに変われるなんて思ってなかった。
女なんて皆同じだと思ってたよ。
だけど、違うんだよな。
まじで好きになったら…こんなにも楽しくて…。
切ないんだな…」


「………そうだな」




なつきは静かに言って、沸いたばかりのお湯をマグカップに入れていた。
と、同時にコーヒーのいい香りがする。
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