花蓮【完結】
………おい。
まじかよ。
バタンと車の閉じる音がして、聞き慣れたあの声がする。
「麻美ちゃん!!!」
その声に隣で騒いでいた三人も話を止めて声のする方を見る。
他にいた花蓮の仲間も。
………注目の的じゃねーかよ……。
哲が走り寄ってくる。
運転席には拓斗がいた。
……あんの野郎。
拓斗をガンつけるけど、拓斗はそれがわかってるからか、あたしと目を合わさないようにしてる。
飼い主を見つけた小犬のようにキャンキャンと走り寄る哲にあたしは叫んだ。
「会わねーって言っただろ!!」
その言葉に哲がぴたりと立ち止まる。
本当に情けない顔をしてる。
まじで見捨てられた小犬のような。