花蓮【完結】
朱美の後ろに乗って、あたしは哲の方を振り返りもせずその場から去った。



哲がどんな顔してたのか、あたしは知らない。
知る気にもなれない。



どれだけ傷付けたか。
わからない。



だけど。
これで心おきなくあたしはいなくなれるんだ。





「なあー朱美ー」


「あああー?」



運転してる朱美にあたしはでかい声を出して言う。
朱美もでかい声で返す。




「行きたいとこあんだけどっ」


「どこー!」


「海ー」


「……はああああああ?????」





朱美は信じられないというような声を出す。



「あたしのバイク、そこにあんだよー」


「何でそんなとこにあんだよ!!」


「色々なー」


「ったく、わかったよ!」



しばらく走って、見知った海があたしの前に広がった。



……バイクは…。




あった。
< 160 / 368 >

この作品をシェア

pagetop