花蓮【完結】
あたしのバイクは駐車場に置いてあった。
…置いてってごめんよ…。



あたしは朱美のバイクを降りて、自分のバイクの前に立って冷えきったバイクを撫でた。




「さみーよ、麻美~」


「…悪い」


「帰ろうぜ」


「………ああ」


「今日、うち来いよ」


「え?」


「……なんか、あんでしょ?」


「………」


「水臭いよ、麻美。
あんな態度麻美らしくないじゃんか」


「………」




わかってんだよな…。
こいつらは本当に。



何でわかるんだろうか。




「悪い…これだけは誰にも言えないんだ」


「誰にも?」


「ああ、だけど…時期が来たら言う…と思う」


「…そうか」


「ごめん」


「ううん、そんなことの一つや二つあんだろ。
気にすんなって」


「……ありがと」


「私は別にいーけど、佐緒里はうっさいと思うぞ?」


「ああ、ああーうん」



それは簡単に想像できて、あたしはどうしようかと悩む。
が、やっぱり言えないことだけは確かだ。
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