花蓮【完結】
「…言われたらそん時考える」


「私もフォローするようにすっけど…。
いない時は頑張れな」


「…さんきゅ」



あたしは朱美の優しさに眉を下げて微笑んだ。

朱美はその後も何も触れずに部屋にあたしを案内してくれた。



そんな朱美が有難かった。
何も言わずあたしを受け入れてくれる朱美が。



お茶を出してくれて。
それを飲みながら朱美が言う。



「しばらくウチいたら?」


「え?」


「麻美、家に帰りたくないんじゃないの?」


「……」


「それに携帯ないなら私に連絡したら麻美に代われるし」


「……朱美」


「もっと頼れって。
麻美、一人で溜めすぎなんだって」


「…んなことねえって」


「アタマだからって私らあんたに全部押し付けたりしないし。
テメーのことはテメーで始末出来るよ?
それに誰かを助ける力だって器だって持ち合わせてる」


「………朱美、ありがとう」


「ん。
潰れる前に言えよ?」


「…ああ」



こくんと頷いて、微笑む朱美。
朱美、ありがとう。
言えないあたしを許してくれ。
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