花蓮【完結】
真実の後の彼の覚悟
「なつき」
「…寒い」
「そう、言うなって」
「さびーーーーよ!
何だよ、いきなり外連れ出したと思ったら海って!」
「……いいじゃんかよ~失恋したんだよ!」
「…珍しいな、お前が本気なのに落とせなかったの」
「本気になったの初めてだもん」
「あー…そうでした」
「麻美ちゃんの口癖真似するなあああ」
「知らねーよ!!」
俺は嫌がるなつきを無理矢理誘い出して、あの海に来ていた。
なつきは寒いを連呼して車に戻っていく。
俺は海を眺めながら。
右手に視線を落とす。
包帯が巻かれているそれ。
あの日。
俺が麻美ちゃんを守れた日。