花蓮【完結】
くたくたになったあたしの後ろから声をかけたのは。
「麻美ちゃん」
哲だった。
その声に急に緊張して、背筋をしゃんと伸ばす。
固まりながら振り向くと、あたしは哲の顔を見た。
「卒業、おめでとう」
「………あり、がと」
笑顔であたしに言う哲の顔を直視できなくて。
視線をずらしながらそっと呟いた。
すっとあたしの目の前に差し出された哲の大きな手。
………そこにはあたしを守るために受けたあの傷。
それをあたしは包み込むように握り締める。
「…哲」
「……なあに?」
……さっきまで。
あんなに緊張してて。
頭が回らなかったのに。
今は。
とっても静かだ。
この大きな手に包まれると。
そう、なれるんだ。
あたしは穏やかになれる。
「哲、好きだよ」
「麻美ちゃん」
哲だった。
その声に急に緊張して、背筋をしゃんと伸ばす。
固まりながら振り向くと、あたしは哲の顔を見た。
「卒業、おめでとう」
「………あり、がと」
笑顔であたしに言う哲の顔を直視できなくて。
視線をずらしながらそっと呟いた。
すっとあたしの目の前に差し出された哲の大きな手。
………そこにはあたしを守るために受けたあの傷。
それをあたしは包み込むように握り締める。
「…哲」
「……なあに?」
……さっきまで。
あんなに緊張してて。
頭が回らなかったのに。
今は。
とっても静かだ。
この大きな手に包まれると。
そう、なれるんだ。
あたしは穏やかになれる。
「哲、好きだよ」