花蓮【完結】
「おい!麻美!!」


腕で麻美の体を抱き上げながら、麻美の体を揺する。
だけど、返事はない。




「どうしたの!?」



人込みを押し退けて、佐緒里が朱美の元へ走る。




「麻美が、動かないんだ!
誰か、救急車!」



佐緒里の後ろから信司と、拓斗が覗きこむ。



「救急車より俺の後ろ乗った方がはええだろ」


「ああ、じゃあ信司頼むよ!」




その会話を背中で聞きながら。


じっと。
麻美のことを見つめていた佐緒里の顔がみるみる青ざめて行く。




口に手を当てながら、震えた声を出した。





「ちょっと、…息してなくね?」


「え?」



皆が麻美の体に注目してみると、肺に酸素を吸い込む動作が全く見られなかった。


青ざめる佐緒里と、琴子。
その手は心なしか震えている。

朱美が信司の方を向き直り、大声で叫んだ。




「おい!早く病院!」


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