花蓮【完結】
その声に頷くと信司が麻美の体を抱き上げた。
自分のバイクの後ろに麻美を乗せると、麻美の腕を自分の腹に回した。


それから体に巻き付けていたサラシを、麻美の腕にぐるぐるに巻き付けた。

麻美がバイクから落ちないためにだ。




一度佐緒里の方を見てから、信司はバイクを走らせた。
その後ろから拓斗も続く。



「わ、私も行く!」


「ことも!」



朱美も琴子もバイクに乗り込んで、拓斗の後ろに続いた。
放心していた佐緒里を菜々美が引っ張った。


「佐緒里さん、行きますよ!?」


「あ、ああ…」


心、ここにあらずの佐緒里を無理矢理自分のバイクに乗せて、菜々美は走りだした。





その後ろから続々と花蓮の後輩がバイクを走らせる。




こんな夜中に百台以上のバイクが病院に集まった。
< 223 / 368 >

この作品をシェア

pagetop