花蓮【完結】
そこには。
佐緒里と、信司、拓斗、麻美で写ってる写メだった。




拓斗はそれを両手で握り締めて。

その場にしゃがみこんだ。




その拓斗をずっと見ていたのは菜々美だった。
菜々美は一緒にいた都(みやこ)に一言告げてから、その場を離れた。



病院の入口でしゃがみこんでる拓斗の側に駆け寄る。
迷いながらも、菜々美は声をかけた。





「…拓斗、先輩」



一瞬。
止まった拓斗はゆっくり顔を上げた。




「…菜々美」


「大丈夫ですか?」


「え?だいじょーぶだいじょーぶ、菜々美こそ平気?」


心配する菜々美に無理に明るく振る舞ってみせたけど、菜々美はわかっていた。


…拓斗が麻美を好きなことを。

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