花蓮【完結】
たまに麻美がしかめっ面で、頭を抑えてるのを朱美は何度か見ていた。
偏頭痛とか、そんな類いだと思ってた。
まさか。
悪性腫瘍だったなんて。
「何で…言わないんだよ」
黙って、泣いていた佐緒里がそう呟く。
「麻美は。
花蓮には言えないって言ってた」
「どうして!?」
「言ってたら引退パレードやったかよ!?」
「!!」
「助からないってわかってて病院なんか行けるかって。
麻美がどういう子かってわかってんのは、お前らの方だろ!?
麻美は、花蓮が一番だった…いや、全てだった。
自分のことよりも、花蓮が大事だったんだ。
だから…俺は、知ってて。
何も言わなかった。
……言えるかよ…。麻美があんなに一人で踏ん張ってんのに。
病院行けだなんて…」
ポロポロと哲の瞳から溢れだす涙。
それを哲は何度も何度も拭いながら、悔しそうに嗚咽を漏らした。
「……泣かねえって…決めたのに」
朱美は掴んでいた手の力を緩めて、力なくそれをおろした。
偏頭痛とか、そんな類いだと思ってた。
まさか。
悪性腫瘍だったなんて。
「何で…言わないんだよ」
黙って、泣いていた佐緒里がそう呟く。
「麻美は。
花蓮には言えないって言ってた」
「どうして!?」
「言ってたら引退パレードやったかよ!?」
「!!」
「助からないってわかってて病院なんか行けるかって。
麻美がどういう子かってわかってんのは、お前らの方だろ!?
麻美は、花蓮が一番だった…いや、全てだった。
自分のことよりも、花蓮が大事だったんだ。
だから…俺は、知ってて。
何も言わなかった。
……言えるかよ…。麻美があんなに一人で踏ん張ってんのに。
病院行けだなんて…」
ポロポロと哲の瞳から溢れだす涙。
それを哲は何度も何度も拭いながら、悔しそうに嗚咽を漏らした。
「……泣かねえって…決めたのに」
朱美は掴んでいた手の力を緩めて、力なくそれをおろした。