花蓮【完結】
マスクを取りながら、皆の元へ歩み寄る。


「麻美は!?」



哲と朱美が最初に近寄る。
その後ろに佐緒里も、琴子もいた。




「……」



医師の沈黙が、酷く長く感じた。




「あ、麻美は!麻美は…」


「……残念ながら…井上さんは息を引き取られました」


「う、嘘だ!信じない!!!」




怒鳴りながら、朱美は医師の胸ぐらを掴んで。
その場にしゃがみこんだ。



その肩は震えていた。





「医師…」



泣き叫んでる三人の後ろから哲が声をかけた。
医師は哲の顔を見て、返事をする。




「はい」


「麻美に会えますか」


「…どうぞ」







通された先に。



綺麗な姿で寝ている麻美がいた。
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