花蓮【完結】
もう、頬に赤みがなくて。
ぴくりとも動かない。




「……………」




覚悟を決めてたのに。
腹括ったはずなのに。






なのに。







足が動かなかった。






立ちすくむ哲の横をすり抜けて、佐緒里と朱美と琴子が麻美を囲む。
各々、思ってることを口にしながら麻美にしがみつく。





その日。
哲は泣かなかった。







……いや、泣けなかったのかもしれない。







井上 麻美。



享年18歳。










まだまだ、人生これからだって時に麻美は死んだ。
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