花蓮【完結】
葬式の後。
なつきといつも行っていたファミレスに入った。




そこは麻美を連れ出したとこでもあって。
麻美が座ってたテーブル席を眺めて、目を細めた。



立ち止まってる俺の腕をなつきが引っ張ってくれる。

なつき、昔から本当にいい奴。



女のとこじゃなくて俺のとこに戻ってこねえかなあ。
って、危ない発言だな、これ。





「哲何食う?」


「んーあんま腹減ってないー」


「ばっか、そんなお前食わすために俺がいんだろ」


「……んー…」


「どーせ、哲のことだから何も食ってねえんだろ。
あーすみません、ハンバーグにステーキに、ナポリタン、あ、後山盛りフライドポテト」


「そんな食えねえよ?」


「大丈夫。食える食える」


「…なつき、食えよ?」


「哲、俺言ったろ?
こんな時こそうまいもん食って、元気出せ!
腹満たして、とりあえずそんなことでもいーから幸せになれ」


「………」


「……麻美ちゃん、お前にこんな顔させたくなかったから…。
云いたくなかったんだろ?
優しーし、哲のこと好きだったんじゃん」


「…………いで!」
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