花蓮【完結】
いきなり、デコピンをされて俺はなつきの方を睨みながら見る。
なつきは肘をついて、手に顎を乗せてこっちを見ていた。



「……一番、生きてたかったのは麻美ちゃんだろ?
お前がその分も生きてやんねーでどーすんだよ」


「俺が…?」


「そー。暫くは閉じこもっててもいーかもな。
だけど、そんなんじゃ麻美ちゃんにあの世で会った時、恥ずかしくて顔合わせらんねーぞ?」


「……」


「で、どーすんの?」


「俺、麻美に毎日会いに行くよ」


「は?」


「毎日、毎日線香あげに行く。
で、麻美の顔を見に行く」


「…いいんじゃねえ?それで」


「………なつき…。
なつきがいなきゃ俺まじで駄目かも」


うなだれる俺を諭すように、なつきは優しく微笑むと言った。



「………俺はいなくなんねーよ」
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