花蓮【完結】
居留守だ、そう思ってまた麻美の遺影に目を向けると聞き覚えのある声がした。




「おばさーーん、麻美に線香あげにきました~!!」


「いないんですかー?」





………佐緒里ちゃん?





俺は玄関まで行って、迷いながらその扉をがちゃりと開けた。


開けた先で待っていた佐緒里ちゃんと、朱美ちゃんと、琴子ちゃんは相当面食らった顔してたな。

そりゃそうだ、俺だって吃驚してるんだから。
この状況?環境?にね。




「て、哲さん、あれ、どーしてここに」


「ええ?おばさんは?」


「哲さん~いつの間に?」


「ああ、えー」




どう、説明したらいいんでしょうか。
これは。



また、勝手に通していいものなんでしょうか。



俺が自問自答してると勝手に三人がずかずかと上がって来た。
当たり前のように上がる三人に俺は何も言えなかった。
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