花蓮【完結】
初めて彼女と会ったのは中学入学式。


さらさらの茶髪で。
整えられた眉に、少し濃いめのメイク。

長めのスカートで、見るからに華奢な体。

色素の薄いその瞳。


恋に落ちるのは簡単だった。


井上麻美。


俺と同い年の彼女は、同い年のくせにその雰囲気を全く持ち合わせていなかった。


そんな彼女がクラスに馴染めるわけなくて。
一ヶ月経っても、誰かと親しそうに話すところを見た事がなかった。


毎日、学校に来ては外を見てるか、寝ているか。
授業を受けてるような素振りはない。


そんな彼女を見つめて一ヶ月。


俺は彼女に話しかけた。


「ねえ」

まさか、誰かに話しかけられるとは思ってなかったんだろう。
彼女は目をまん丸にして俺を見た。
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