花蓮【完結】
「…何」
うわ、初めて声聞いた。
周りが俺らを見てるのがわかる。
「井上さん、俺と友達になろうよ」
「…は?」
「俺、拓斗。たっくんって呼ばれてんの」
「……関わらなくていいわ」
「ええ?」
「あたしに関わんなって言ってんの!」
「!」
それ以上何かを言える様な雰囲気ではなくて、俺は口を噤んだ。
だけど、後に引けることも出来なくて。
俺はその場に暫く佇んでいた。
そんな俺を呆れ顔で見てから、また口を開く。
「…友達とか、面倒だからさ」
「面倒、って」
「男もめんどくさい」
彼女は俺と同い年だよな…?
12年で、どうやって生きたらそんな考えになるんだろう?