花蓮【完結】
「やっぱり俺と友達になろうぜ」
「…聞いてた?」
「うん、聞いてた!
俺、裏切ったりしないし、めんどくさくねえよ?」
「裏切るっつうか…関わるのが面倒っつううか」
「ええ?一人よりよくね?」
「………ごめん、やっぱパス」
「え?」
何が?
何がパス?
それだけ言うと、井上さんはカバンを持って教室から出て行った。
それをぽけーっとしながら黙って俺は見ていた。
麻美はいつだって誰かに壁を作っていて。
それを受け入れることを拒否していた。
それからちょくちょく話しかけていたが、毎回無視されたり、はぐらかされたり。
とにかく俺は煙たがられていた。
だけど、彼女への興味は尽きなかった。