花蓮【完結】
何でかって?

こうやって、誰かにドキドキして。
麻美への想いも色褪せてって。

このまま、誰かと付き合ってったりするのかもしれないのかって。


それが当たり前で、至極当然なことで、普通で。

今はまだ切り替えが出来ないけど。
それがいいんだって、わかってるから。


「菜々美」

「…何ですか」

「返事、保留でいい?」

「え?」

「ちょっと、考えさせて」


俺が言うや否や、菜々美は両手で顔を覆った。


「え?ど、どうした!?」


俺が近付くと、菜々美は来なくていいです!って叫んだから仕方なく俺はそこで踏みとどまった。
肩を震わせながら菜々美は一言一言、しっかりと話した。
顔を覆ったままで。
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