花蓮【完結】
「………断られると思ってました。
だって、私の好きな拓斗先輩はずっと麻美さんのこと好きで。
その横顔に惚れたんです。
切ない瞳をしてる人だなって見てたら、ハマってました。
でも、麻美さんならしょうがないって思ってました。
だって、綺麗だし、カッコいいし、強いし。
理想でした、憧れでした…。
いなくなって…もしかしたら拓斗先輩は私を見てくれるんじゃないかなんて…。
そんな考えして。
私って、醜いですよね…。
麻美さんが羨ましい…」


一気に話した菜々美は声を押し殺して泣いていて。
俺は一歩ずつ、菜々美に近付いて。


菜々美の頭を抱きよせた。


「……せ、んぱ」

「報われない恋がどれだけ辛いか、わかってるから。
…今は…変なこと考えんな。
…って無理か。俺も、無理だな。
ごめんな、菜々美。やっぱりまだ麻美のこと好きなんだよ。
どーしようもなく。
死んじまった今でも、会いたくてしゃあねえ。
でも、前に進まなきゃってわかってっからよ。
だから、前向きに考えるから。
菜々美が麻美の代わりじゃなくなるぐらいまで好きになれたら…。
俺から云うから、な。
あ、だけど、俺よりいい奴いたらそっちと付き合ってもいいんだぜ?」

「拓斗、先輩以上に好きになれる人、いませんよお…!!」

「ふは、俺と菜々美、なんか似てるのかもな」

「ううう…私、パンチパーマじゃないです」

「ぶは!見た目じゃねえって。
中身?性格?考え?っつうの?
だからさ、付き合ったらうまくいきそうだな」

「ううう~期待させないで下さいい!!」

「はは。ごめんごめん」


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