花蓮【完結】
「…ねえ、あんたらまじでレディースなの?」


気付いたら私はそんなことを口走っていた。
その言葉にいち早く反応したのは佐緒里。


「はあ?何、喧嘩売ってんの?」

取って食いそうな佐緒里を麻美さんがなだめる。


「まーまー、可愛いじゃん。こんなとこ。
あたしらもこんなだったんじゃね?」

「…私はこんな生意気じゃなかったわ」

「さおちゃん、絶対うそお」

「うっせーよ、琴子」



また、漫才みたいに突っ込んで笑ってる。
なんか、拍子抜け。


こないだの麻美さんはサイコーにいかしてたけど。
なんか、こいつらレディースとかあり得なくね?


「…帰ります」

私がそう言って踵を返すと、都が慌てて私を追いかけた。
それを麻美さんが止める。


「なあ、菜々美」


ぴたりと足を止めるが、振りかえらない。
ただ、耳だけ澄まして。


「あんたも、花蓮入らねえ?」


…はあ?


私がそう言うより先に佐緒里が口を開く。

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