花蓮【完結】
「ま、無理にとは言わないけど」
麻美さんは何も言わない私と都にそう言って、にかっと笑った。
「…都、どーする?」
「…ね」
麻美さん達は、後輩と話をすると言って私と都を倉庫に残して出て行った。
また暫く沈黙していたけど、それを都が打ち破る。
「…なあ、麻美さんってかっこよくね?」
「え?」
「私、花蓮入ろうかな」
「まじ言ってんの?」
「むやみやたらに喧嘩してんのも楽しかったけど」
「……私はやだよ。
佐緒里って奴、まじで気に食わない」
「そう?佐緒里さん、何だかんだ話聞いてくれてたじゃん」
「………」
なんだよ、佐緒里さんって。
喧嘩なら菜々美と都だって、ここら辺では有名だったのに。
何でさんづけなんだよ。
悪友の都を花蓮に取られたような気がして、私はイライラが収まらなかった。