花蓮【完結】
「お、まだ余裕あるの?」
嬉しそうに笑うと、こっちに近付く。
余裕なのは…てめえじゃねえか。
「じゃあ、遠慮なく」
そうやって拳を振り上げた瞬間。
「辞めて下さい!!!!!」
私の前に。
都が立ちはだかった。
「…邪魔、どけ」
佐緒里がハッキリとそう言うが、都は私の前に仁王立ちして動かない。
「…お願いします」
「…あんた、タイマンの意味わかってんの?」
「……菜々美は、いつもこんな突っかからないんです」
「……で?」
「だから、もう許して下さい」
「……」
佐緒里は拳を下ろすと、一旦溜息を吐く。
それからためらいもなく都を思い切り殴り飛ばした。
都は衝撃で後ろに倒れ込む。