花蓮【完結】
「都ー」
学校に行くわけでもなく、私は都の家まで来ると外から都を呼ぶ。
築何十年と経ってるアパートの三階が都の家。
呼んで少ししてから、窓がガラガラと開き都がひょこっと顔を出した。
「…なーにー」
「サボろー」
「もー学校始まってんだろ」
「あはは、だなー」
「あー五分待ってて」
「あいよ」
都がそう言って、姿を消すのを確認した私はしゃがみ込んでタバコを取り出して火を点けた。
一本吸い終わったと同時に扉の閉まる音がする。
どうやら都が出てきたみたいだ。
「お待たせー」
「あい」
タバコを地面で踏み潰すと、私は都の横に並んだ。
「どこ行く?」
「溜まり場は?」
「え~?何で」
都がそう提案するから、私は思いっきり嫌そうな顔と声で言った。
「はは、菜々美は花蓮は好きだけど、佐緒里さんが嫌いだよね」
「佐緒里、偉そうじゃん」
「そう?私は好きだけどな~」
「えー?都、どうしたの」
クククっと笑うだけで都は答えない。
なんか、小馬鹿にされてる様で私は口をへの字にした。
それを見て、更に都が声を上げて笑った。