花蓮【完結】
メールには



【麻美、最近入った子達が光と喧嘩した】





ただそれだけ。


理由も今どこにいるのかすら書いてない。







あたしはすぐに佐緒里に電話をかける。

…出ない。





長いコールの後、留守電に変わる。








………







琴子にかけるも、琴子も同じだった。








おい、どういうことだ?




あたしは急いで外へ行こうと、寝ようと思ってベッドに置いた上着を着た。

玄関へ向かい、靴を履こうとしたらあたしを呼ぶ声がした。






「麻美ちゃん…?」


「…哲、起きてたの?」


「ああ、う、ん」


「ちょっと、用が出来た」


「……まさか、花蓮?」


「……」








あたしは何も言わずにドアノブに手をかけて、そのままひねった。

何か言いたげだった哲。



だけど、それをわかりながら無視して外に出る。




静かなマンションであたしの歩く音だけが響く。





バイクに跨ると、あたしは独り。
光のいる場所へと向かった。






何かあるならそこしかないから。
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