ビー玉



なのに…


「明穂ちゃん」

「………」

「何で無視すんの?」

「………」


物理的に、蓮実くんに近いのは矢恵よりもわたしの方だった。


「明穂~」

「…っ」

「明穂、だと反応してくれるのな」


後ろから聞こえる笑い声。


「あ、あの…っ!」

「ん?」


初めて後ろを振り返った…

蓮実くんの細めた目がわたしを見ていた。

ドキッ


「…!」

「ちょ、何だよ明穂」


名前を呼ばないで、なんて言えなかった。


名前を呼ばれる度にドキドキ高鳴る鼓動。

名前を呼ばれただけなのに…

自分が以下に男慣れしていないか分かる。


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