ビー玉



「ね、蓮実ちゃん」

「………」

「はすみん」

「………」

「明穂」

「…っ!」


思わず反応するわたし。

ドキッとした。

だって、今まで男の人に名前を呼ばれることなんてなかったから。


「お、反応有り♪
よろしくね、明穂ちゃん」

「…っ」


…振り向けない。

背後に感じる視線に、背中が熱くなるのが分かった。

そんなわたしを笑いつつ、奴は周りの人と楽しそうに話し始めた。


早く終わればいいのに…

そう思って担任の先生の話を聞いていた。


でも、中身なんて入って来ない。

わたしの全神経は、後ろから聞こえる低い声に奪われていた。







< 8 / 16 >

この作品をシェア

pagetop