ビー玉
「ね、蓮実ちゃん」
「………」
「はすみん」
「………」
「明穂」
「…っ!」
思わず反応するわたし。
ドキッとした。
だって、今まで男の人に名前を呼ばれることなんてなかったから。
「お、反応有り♪
よろしくね、明穂ちゃん」
「…っ」
…振り向けない。
背後に感じる視線に、背中が熱くなるのが分かった。
そんなわたしを笑いつつ、奴は周りの人と楽しそうに話し始めた。
早く終わればいいのに…
そう思って担任の先生の話を聞いていた。
でも、中身なんて入って来ない。
わたしの全神経は、後ろから聞こえる低い声に奪われていた。