ビー玉
HRが終わって放課となっても、後ろの蓮実くんは動こうとしなかった。
と言うか、蓮実くんの周りにいろいろと人が集まって来たため、わたしは逃げるようにその場を離れた。
「矢恵」
「あ、明穂。
ちょっと待ってね~」
矢恵の席に行くと、矢恵は隣の席の男の子とアドレスを交換していた。
「じゃあね~、高橋くん」
「おう、また明日な~」
高橋くんと呼ばれた男の子は、爽やか系な男の子だった。
「帰ろうか♪」
「あ、うん」
矢恵と教室を出る時、少しだけ自分の席を見た。
「………」
人気者、なのかな…
蓮実くんがいるであろう席の周辺には、小さな人集りができていた。
その中で、チラッと見えた蓮実くんの姿。
……っ
明るい茶色の髪、
シャープな輪郭、
整った顔のパーツ、
こんな人、初めて見た。