【完】水筒
「苦い…?」


「なんか甘い…」



 ――――事故が起きた。


 これで人生最大の事故だなんて、今までどれ程何も無かったのかと思われそうだけど。



「……まさ、か」



 一つになった視線。


 お互いに顔を真っ赤にして、九十度ほど顔ごとそむける。



 間違い無く。



「事故!事故だから気にすんな―――」



 真っ赤な顔で言われても、説得力の欠片も無い。


 今のは、今のは。



「……ばー、か…」



 有り得ない、と言い聞かせても。一番疑うべきは、この“事故”そのものでなく。



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