…+*狼×狼@Cafeteria*+…



…って。

「さきや ゆかり ちゃん!」


…咲矢由香利チャン。

黄色い名札。 昨日入ったバイトさん。


かわいい顔してんのに、いっつもしかめっつら。

頑なに結んだ口、俺がこじ開けてあげたいって、思うんだよね?



「…で、何?」


彼女が俺の名前覚えてくれてたことに驚いたけど、
まぁ一応、一言目はオーナーらしく、真面目(ふり)で。


「…や、あのお客様がオーナーにお話があると。」





…げ。

視線を向けた先には昨日の女。

…チッ 一回寝たからって調子に乗ってんじゃねーよ。

また寝ようってか?

あんくらいで…?


眼中にねぇよ。

それよりさ…

「…ねぇ、由香利チャン俺の名前覚えてたんだ?」

顔をグイッと近付けて問い掛ける。

甘い声で……


「…はっ?

オーナー呼んでるのに気付かないで

ガラス張りの棚に映った自分に見惚れていらっしゃったので
オーナーの名札を見て、オーナーの名前だと思われる文字を読み上げただけ

のことですよ?」


つらつらと一度たりとも噛まれることなく、
ドラマの台本ような、トゲのある言葉が彼女の口から投げ出される。

口元に浮かぶ笑みが悪寒を呼ぶ。



…全く。

なんでこの子には、俺の優越感が通用しないかな。

苦手、でも燃えるよね?
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