…+*狼×狼@Cafeteria*+…
「…冷静に考えれば、復讐なんて
何の意味も成さないことくらい、誰でもわかります。
もし、相手に同じような苦しみを味わわせたところで
自分が傷付けられた事実は消えないし、
傷付け返した瞬間は"やってやった"って思っても
時間が経って冷静になった時、
自分を見失ってしまった事実に
自分自身がショックを受けることになる。
だから、どんなに辛くても
復讐なんてして、
辛さを倍増させたり、
自分の首を絞めたりするなんて、
間違ってるって、
そんなことは、きっと
よく考えたら、わかることなんですよ。
でも、怒りに狂い、憎しみに操られた あの時のわたしは
そんなこと冷静に考えられなかった。
だって、わたしには…
心の底を打ち明けられる存在も、
彼と正面きって、面と向かって
ぶつかる勇気も
なかったから………」
……瞬間、ポロっと、ビーズでもこぼれ落ちるように
ごく自然に、
たった一粒、
色の失せた宝石が
彼女の瞳からポロッと湧き出て
頬を伝うことなく
睫毛に捕まって、電灯に照らされ
儚く煌めいた。