お兄さんがお医者さん
2学期になって、ママも九州に行っちゃったから、お兄ちゃんと二人になった。
お兄ちゃんは忙しいみたいで、夜遅くに帰って来ることが多い。
もちろん、当直の日は帰ってこないし、昼でも家にいることがある。

昼間は暑いのに夕方になったら急に涼しくなって、秋の気配が感じられる。
こういうときに風邪引いたり、体調崩すから気をつけないと・・・って思ってたのに、風邪ひいちゃったみたい。
学校から帰って、勉強しててもボーっとして頭に入らない。
ご飯食べなきゃって思って、キッチンに行って、何か作らなきゃ・・・って思ったけど、食欲なくてご飯だけ炊いたけど、食べずにお茶飲んだだけになった。

部屋に行って、今日は早く寝ようって思ってベッドに入った。
ウトウトしてたら、「まりちゃん、大丈夫?」ってお兄ちゃんが帰ってきてた。
「うん。お兄ちゃん、おかえりなさい。」
「ただいま。まりちゃん、熱計りなさい。ほらっ」って体温計を挟まれた。
「どうして??」
ピピッ体温計がなってお兄ちゃんが取って見て、
「まりちゃん、いつから?」って聞かれた。
「・・・」
「しんどくなったのはいつ?今日?」
「うん、今日の夕方、早く寝ようと思って寝てた。」
「そっか。ちょっと診察しような。胸の音きくよ。吸って・・・吐いて・・・はい、のど見せて、あーん・・・はい、いいよ。風邪引いたんだろう。夕食食べた?」
「ううん・・・」
「食欲ないか?」
「うん・・・」
「病院行こうか?ちょっと熱高いし、食欲ないなら点滴した方がいいし。受験生だから早く治りたいだろう?」
「・・・涙・・・」
「いやだよな。今、解熱剤はあるから、それで様子見て、明日、病院行くか?この様子じゃ明日学校は無理だろ?じゃあ、坐薬入れるからね。ちょっと我慢してな。はい、身体向こうに向けて・・・」
「泣泣・・・」お兄ちゃんに坐薬を入れられ、ちょっと涙が出ちゃった。
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