千年の追憶*番外編*
炊けたお粥を持って、客間に急いだ。


早時。目が覚めたかな。


「失礼します。」


ゆっくり障子を開ける。


まだ夢うつつの口調で早時の口から出た言葉。


「みなぎく…?」


女性の名前だった。


あたしは、初めて聞いた知らない女性の存在にちょっと嫉妬した。


早時はその美しい顔を、静かにこちらへ向けてあたしを確認する。


「お前…。」


その形のいい唇から漏れた言葉に、あたしは満足した。


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