千年の追憶*番外編*
池の畔であたしは見た。


池の畔に横たわる美しき鬼を。



―銀色の絹糸のような髪

―金色に妖しく揺れる瞳

―頭に生える二本の黄色い角

―鋭く長い爪



深い緑色の立派な衣装を着ていたが、その姿はまさしく鬼。


全身傷だらけでありながら、まだ幼いあたしが思う程に、そこに横たわる鬼は美しかった。


あたしは、躊躇うことなく近づいて声をかけた。


鬼の名は『早時(はやとき)』

傷は直ぐに癒えると言われた。

そして、とても優しく早時はあたしを諭した。


俺に関わるな…と。


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