千年の追憶*番外編*
そして私は背中越しに、先程から感じていた視線の先をちらっと見た。


「あの娘とはいつ?
顔見知りだったとはね。」


私は、かまをかけた。


我ながら小ズルい手法を使ったと思う。


私の知らない炎を早時が知っているかもしれない事を、少し悔しく感じた自分がいたのだ。


私の言葉が聞こえたのだろう。


炎が隠していた姿を見せた。


「礼孝様!
顔見知りだって事、どうしてご存知なんですか?
あ…!おはようございます。」


「いや…ははっ…。
実は、只の当てずっぽうなんです。」


私は正直に告白した。


私にとって炎は、本当に素直で愛らしく思える女性だった。

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