千年の追憶*番外編*
「特別?
あぁ…。お前には、鬼の姿を見られていたんだったな。
恐い思いをさせて悪かったよ。」


早時は、俯いた。


「ちがっ…!
そういう意味じゃないの!
あたしは早時に、もう一度会いたくて…。」


「何で?」


早時は少し表情を強張らせた。


隣で二人の会話を聞いている私にも、それぞれの緊張が伝わってくる。


先に口を開いたのは早時の方だった。


「俺に関わるな。」


それは拒絶の言葉。


でも私には、早時が助けを乞う言葉に聞こえてしまった。


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