千年の追憶*番外編*
俺は、首から下げている革紐の先にある大事な物を、胸元からそっと出して炎に見せた。


「これ。水菊の小指の骨。
水菊を荼毘に付した時に、これだけ分けて貰った。」


ずっと水菊と一緒に居たかった。


俺の側に居てほしかった。


「水菊は今も、俺と一緒に居るんだ。
…ここに居るんだ。」


炎は、少し悔しそうな顔をして、水菊を見ていた。


「俺がこの先も他の女を愛する事は、絶対にないよ。
分かってもらえたかな?」


俺は静かに水菊を胸元にしまった。


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