千年の追憶*番外編*
あたしは、少し勢いをつけて早時を倒すと、馬乗りになった。


そして早時の吸い込まれそうな、妖艶な瞳を見下ろす。


「みんな、あたしの顔を見て驚くの。
可哀想にって、目をするの。
両親でさえ、そうだった。
あたしは、抱き締められた事すらないの。
早時だけよ…。
あたしをそんな目で見なかったのは。
今まで生きてきて…早時だけなの。」


あたしは、早時の上にうつ伏せになって、早時の鼓動を聞いた。


早時は、しばらく動かないで居てくれて。


人の温もりって、こんな感じなんだって知った。


< 47 / 102 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop