千年の追憶*番外編*
あの後どうしただろう。


とても酷い傷を負っていた。


何をして、あんな傷を負っていたの。


殴られたような傷もあれば、引っ掻かれたような傷も見てとれた。


傷だらけで倒れていた鬼を、あたしは忘れた事なんてない。


ずっとあたしの記憶に残る程に、早時は印象的だった。


幼心を魅了した、あの美しい鬼を…



「炎。
ちょっといいですか?
頼みがあるんです。」


不意に名を呼ばれ、我に返った。


時々こんな風に早時を想ってぼんやりしてしまうのは、あたしの悪い癖だ。


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