千年の追憶*番外編*
私は、いそいそと早時が待つ部屋を訪れた。


障子の外から声をかける。


早時は、何も言わずに内側から静かに障子を開けた。


その所作といい、佇まいといい、どこか上品で・・・。


早時が、きちんと教育の行き届いた環境で育ってきたであろう事を、私に感じさせた。


早時は生まれながらの鬼ではなく、何か事情があって鬼に身を落としたのではないか。


そんな思いが、私の頭をよぎった。


「外に出ませんか?
屋敷の中に籠っていては、気が滅入りませんか?」


私の言葉を聞いて早時は、苦笑した。




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