千年の追憶*番外編*
ここはあたしが住み込みで働かせてもらっている、お屋敷。


主は少し気の弱い陰陽師、礼孝(れいこう)様。


30歳を過ぎているというのに、奥方はいらっしゃらない。


もう少しご自分に自信を持たれてもいいのに・・・

と、あたしは思ってしまう。


かなりの術の使い手だと、聞いたことがある。


見た目がずば抜けていい訳ではないけれど、清潔感のある爽やかなお方。


遠慮深いというか、低姿勢過ぎるというか…。


あたしにまで、敬語を使って下さる。


「はい。ただいま!」


元気よく返事をして、あたしは玄関へ向かった。


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